はじめに
会社を設立するときや会社名を変更するときに社名を決める必要があります。
制度上、商号(社名)として登記できる文字にも制限があります。
かつて、ローマ字等による商号の登記が認められない時代もあったものの、平成14年の制度改正により制限が緩和されました。
今回は、商号(社名)として登記できる文字・符号等について触れます。
使用可能な文字等(商業登記規則第50条、平成14年法務省告示第315号)
商号の登記に用いることができる文字等は、以下のものに限られます。
- 日本文字
- ローマ字
- その他の符号で法務大臣の指定するもの
日本文字(ひらがな・カタカナ・漢字)
まず、当然のことながら、ひらがな・カタカナ・漢字による商号の登記が可能です。
ローマ字(大文字・小文字)
また、ローマ字による商号の登記も認められております。
AからZまでのローマ字で、大文字・小文字のいずれでも登記が可能です。
その他の符号で法務大臣の指定するもの
日本文字やローマ字のほかに、以下のような符号を用いることが可能です。
- アラビヤ数字(0123456789)
- 「&」(アンパサンド)
- 「‘」(アポストロフィー)
- ④「,」(コンマ)
- ⑤「-」(ハイフン)
- ⑥「.」(ピリオド)
- ⑦「・」(中点)
一方で、「()」(カッコ)のような符号や「Ⅱ」のようなローマ数字の使用は認められません。
符号を使用する場合の制限について
上記の符号のうち、②~⑦については、使用できる場面に制限があります。
これらの符号は、字句(日本文字を含みます)を区切る際に限り使用可能です。
会社の種類を表す部分(株式会社・合同会社等の表記)を除いた商号の先頭又は末尾に用いることはできません。
ただし、ピリオドに限り、会社の種類を表す部分を除いた商号の末尾に設けることが認められます。
文字・単語の間にスペースを入れることの可否
文字・単語の間にスペース(空白)を設けることができないのが原則です。
ただし、ローマ字を複数の単語で表記する場合に限り、スペースの利用が認められます。
既存の会社の商号の登記にローマ字を用いるための手続
制度改正前から定款上の商号にローマ字を用いている場合
従来から、定款で定める商号にローマ字を用いることは認められていました。
そのため、定款上の商号はローマ字表記で、登記上はカタカナ表記の会社があります。
このような会社が登記上の商号にもローマ字を用いる場合には、商号の更正登記の申請が可能です。
商号の更正登記により、登記簿上もローマ字を用いた商号に訂正されます。
なお、制度改正日(商業登記規則の施行日)は、平成14年11月1日です。
定款上の商号が日本文字で表記されている会社の場合
一方で、定款上の商号が日本文字表記の会社については、取り扱いが異なります。
このような会社が登記上の商号にもローマ字を用いる場合には、以下の手続きが必要です。
- 会社の定款(商号)変更手続き(株主総会の特別決議)
- 商号の変更登記の申請
終わりに
今回は、会社の商号に用いることができる文字・符号等について触れました。
上記で触れた要件を満たせば登記が可能というわけではありません。
法令等により使用が制限・禁止されている名称や表現もあります。
上記制限等については、次回以降に触れたいと思います。